2023.8.6UP
近い将来、豚肉が食べられなくなるかも!?今から考えたい食育とは
私たちが日々、当たり前のように食べている豚肉。その当たり前が、もしかすると近い未来になくなってしまうかもしれません。
実は、豚肉の生産にはいくつもの課題があり、将来食べられなくなるかも……と懸念されています。
このコラムでは、豚肉がなぜ食べられなくなる可能性があるのか、食育という視点から養豚の経営管理を行うEco-Porkさんにお話をうかがいました。
ひとりひとりが考えたい食育とは?
食育とは、生きる上で基本となる「食事」について、さまざまな視点から考え、選択することです。
例えば豚肉ひとつにしても歴史があり、私たちはその文化や社会を知り、祖先が大切に紡いできた食肉文化というものを後世にしっかりと繋いでいく必要があります。
命をいただくということはもちろん、その歴史的背景を伝えていくことが食育という考えです。
考えられる豚肉の未来とは?
食糧危機の問題は、あらゆる点で議論が交わされています。
特に豚肉をはじめとしたお肉は、近い将来食べられなくなるかもしれない、と国連が警鐘するほど。
その原因はひとつではなく、あらゆる要素が複雑に絡み合って引き起こされています。
食べられなくなる可能性がある理由についてまとめてみました。
その①:養豚農家の減少
すべての養豚農家が当てはまるわけではありませんが、「キツイ、キケン、キタナイ」の3K業界といわれている養豚場。
売り上げが伸びずコストは増えるという状況の中、経営が難しいという現状も少なくありません。
豚肉に限らず、2040年には畜肉の割合が40%まで現象する可能性もあることが近年は懸念されています。
その②:温室効果ガスの排出
畜産業を営む際には、飼料・水、排泄物処理など、あらゆる局面で環境負担がかかっています。
また、牛のゲップや豚の糞尿から放出されるメタンガスは温室効果ガスであるため、地球温暖化に寄与してしまっている一面も。
環境面から考えても、食肉を大量生産することは持続可能なのか?と議論され続けています。
その③:後継者不足
養豚場に限らず、後継者が不足している畜産農家。
実際に農家を営む人たちの平均年齢はどんどん上がっているといわれています。
少子高齢化の影響もあり、70歳以上の割合が全体の半数となるデータもあるほど。
このままだと、生産する畜産農家がいなくなり、食肉の生産が難しいと考えられています。
その④:物価高騰
家庭を苦しめている物価高騰も、豚肉が食べられなくなる懸念材料のひとつ。
上記に記載したその1とつながりますが、飼育施設の光熱費や水道代などはもちろん、飼料の元となるとうもろこしや大豆はほとんどが輸入となるため、物価高騰の影響を受けてしまいます。
このまま値上げが長引くようであれば、経営が難しくなる畜産農家が出てくる可能性も否定できません。
その⑤:食べない選択肢
豚肉に限らず、牛や鶏を食べないという選択をする人が増えています。
ヴィーガンやベジタリアン、宗教上の理由、近年では肉を控える・食べないというミートフリーを実践する人もいます。
さまざまな可能性があるとはいえ、美味しくて栄養満点の豚肉。
養豚場から出荷される多くの豚は、できるだけストレスを与えないよう細心の注意をしながら出荷され、私たちの食卓へ届きます。
遺伝子組み換えやクローンは現時点では認められていませんが、今後どうなるかわからないことを想像すると、生産者の顔が見える豚を選ぶなど自分なりの選択を考えていくことも大切といえるでしょう。
食育の本質は、食事についてあらゆる視点から考え、食を選択していくことです。
豚肉を取り巻く問題について、親子で話し合ってみるなど一緒に「食を選択」してくださいね。
取材協力
参考: