二十四節気に合わせて心と体を整える“立冬”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第37回は「立冬(りっとう)」です。

11月7日~11月21日頃を指す立冬は「冬」という文字が出てきても、まだまだ冬の入り口で、実り豊かな秋真っ盛り。冬の足音を聴きながら、移ろいゆく秋を楽しみましょう。

中医学の世界には「立冬補冬、補嘴空」という言葉があります。この言葉を簡単に説明すると「冬になったら冬の食べ物で元気を補おう!」という意味になります。この季節に旬を迎える具体的な食材は、南瓜・ほうれん草・チンゲン菜・ネギ・にら・白菜・大根・ごぼう・カニ・サバ・鮭・牡蠣・リンゴ・柿・銀杏・柚子など。どれも体がホカホカと温まりそうな食材ばかりです。来たる冬に向けてしっかりと体作りをしましょう、と言うことなのです。

数ある冬に向けた食材より、今回は白菜について詳しく書きます。私たちにとって身近な白菜、実は歴史の浅い野菜だということはご存知でしょうか。栽培が始まったのは明治末期だそうですが、今では日本の冬には欠かせない野菜になりましたね。中医学の観点では、白菜は胃腸に働きかけて消化器の働きを活性化する薬効があります。体を冷やす野菜で、胃や胸の不要な熱を冷ますことから胃のむかつきや胸やけの症状を緩和します。また、便秘にも良しとされ、大腸が熱を持つタイプの便秘(暴飲暴食・熱性の疾患によるもの。お腹が張る・喉が渇く・体が熱っぽい・口臭がある・便が臭いといった症状)にも効果が期待できると言われています。さらに二日酔いなど、お酒を飲みすぎた後に喉の渇きを癒すとも言われています。お酒を飲む席や飲み過ぎた時にぴったりですね。呼吸器を潤す効果が期待できるとされているので、この時期の乾燥した空気による風邪の予防も期待できます。

白菜は体を冷やす寒性ですので、食べ方としてはじっくり加熱する鍋物や煮物が適しています。芯や外葉の部分にも栄養がたくさん含まれていますので、芯の部分を甘酢浸けにしたり、しゃきっと炒めるなどして食感を楽しむのもオススメです。外葉は硬いのですが煮込めばやわらかくなります。白菜を生食する場合は、体を温める食材を合わせるのをお忘れなく。甘酢浸けの唐辛子は理に適っていますね。

ところで、白菜にたまに見かける黒い点々。これは食べても良いのかどうなのか悩んでいる方は多いようです。結論から言うと、食べても問題ありません。主な原因は栽培時の栄養過多によるものだそうです。低温貯蔵が長引くと出ることもあります。いずれにせよ、白菜の生理現象ですので問題ないとされています。これから甘さを増してくる白菜。鍋料理だけでなく、漬物、サラダ、炒め物、煮物と色々な調理法を知ると、使い切ることができますよ。

白菜と豚バラの重ね煮

白菜と豚バラ肉の重ね煮

<レシピの詳細は画像をタップしてください↑↑↑>

参考 「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代

「からだに効く 和の薬膳便利帳」武 鈴子

「イチからわかる野菜の育て方」WEB

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