今注目の葉酸

「葉酸(ようさん)」をご存知ですか?ビタミンB群の1種ですが、あまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか。妊娠経験のある方は、妊娠期にサプリメントを服用していたことがあるかもしれません。この葉酸が今注目を浴びているのです。
 

葉酸は、たんぱく質や細胞を作る時に必要なDNAなどの核酸を合成する重要な役割があります。その働きの他に「ホモシステイン」というアミノ酸を減らす効果があることで注目されています。そもそもホモシステインは、脳や骨、血管で活性酸素を発生させるなど、脳の萎縮や骨粗鬆症、動脈硬化の原因になっているのではないかと考えられています。

葉酸の摂取量別にアルツハイマー病の発症を調べた研究結果が発表され、最も摂取量が少ないグループに比べて最も摂取量が多いグループは、アルツハイマー病の発症率が半分だったという実験結果が出たそうです。他にも心筋梗塞による死亡率が40%低かったという研究データもあるとされています。
 

埼玉県坂戸市では女子栄養大学と共同で「さかど葉酸プロジェクト」という取り組みが行われており、葉酸を多く摂取する食事を続けた結果、ホモシステインの値が下がるなどの結果が出始めているそうです。
 

では実際に葉酸を摂取する場合、どのくらいの量を摂ればよいのでしょうか。妊婦を除く18歳以上の男女の推奨量は1日240マイクログラムとされています。生のブロッコリーなら1/2個、生のほうれん草なら1/2束。
……ん?生の??
そうなのです。葉酸は水溶性ビタミンですので水に溶けてしまうのです。ちなみに坂戸市では脳や骨、血管の病気との関連性を研究しているため400マイクログラムを摂取目標にしています。
 

水溶性ビタミンであるのに、茹でる調理が主の葉野菜に多く含まれる葉酸。葉酸を効率良く摂取するためには、炒める・蒸すといった調理法がおすすめです。葉野菜以外では枝豆、豆苗、納豆、海苔、緑茶、果物にも葉酸が含まれます。このように見ると、葉酸=特殊な栄養素ではないことがわかりますよね。実際、国民健康栄養調査でも277マイクログラムと推奨量は満たされています。しかしこの事実にはからくりがあるようで、それぞれの食材が持っている葉酸を人間は100%吸収できるわけではないのです。加熱調理や胃酸で50%も失われてしまうことを考えると、もっと意識して葉酸を含む食材を摂る必要がありそうですね。
 

ならばサプリメントで、と考える人も多いかもしれませんが、サプリメントは吸収率の良い形に加工された葉酸なので、妊娠を考えている人・妊娠中の人以外は過剰になってしまうので必要ありません。葉酸の摂取は、毎日の食卓で美味しく食べるのがベスト。ぜひ春のおうちごはんで意識してみてくださいね。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

 
参考 「エレビット」バイエル薬品HP」

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