「二十四節気に合わせて心と体を整える“穀雨”」

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第71回は「穀雨(こくう)」です。
4月20日~5月4日頃となる穀雨は、本格的な春の訪れとともに、花粉症や寒暖差、乾燥や気圧の変化で体調不良が起こりやすい時期。それでも春の食材を見ると心が躍るものですよね。
  
今回のテーマは「新じゃが」です。3月初めの九州産から始まり、各地の新じゃがが6月まで、最後の北海道では7月まで新じゃがが収穫できるそうです。新じゃがは冬に植えたじゃが芋を通常の収穫期より早く収穫したものですので、完熟手前で小振り。水分量が多くみずみずしいのでホクホク感は少なめ、火通りの早さが特徴です。また皮が薄いので、皮を剥かずにそのまま調理し、皮ごと食べることができます。あっさりとした味わいで他の春野菜との相性も抜群です。

保存の仕方はどうでしょうか。普通のじゃがいもは長期保存が可能ですが、水分量が多い新じゃがは長期保存ができません。さらに、時間とともにじゃがいもの風味は薄れ、皮が固くなってしまったり青くなります。この青く(緑)なるという理由は、日光に当たってソラニンが発生してしまったから。有毒なので、食材として使う場合は青い部分の皮を厚目に剥くようにしましょう。また、低温に弱いので冷蔵庫での保存は向きません。日の当たらない場所で常温保存しましょう。

新じゃがは、皮ごと食べられるのが魅力。そのまま蒸してバターをのせる「じゃがバター」は、ほどよい大地の香りとフレッシュな味で春ならではの色が楽しめます。小振りであること、そして水分量の多さから加熱時間が短くて済むので、時短調理にもなります。
煮物にする場合は、よく洗った新じゃがを皮付きのまま1度素揚げしてから煮るのも面白いですよ。ソテーの場合はほくほく感が少ないので、むちっとした食感が楽しめます。

じゃがいもは米やパンのような炭水化物として考えられますが、ビタミンCが多く含まれます。通常ビタミンCは熱に弱いのですが、じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られているので、加熱調理しても失われにくいのが特徴です。

薬膳の世界では、体にエネルギーを与え、胃腸の働きを活発にします。また体内の熱を冷まして、余分な水分を排泄する働きに優れています。これらの薬効から考えても、新じゃがは湿気が多い日本の初夏に最適な野菜というわけですね。もちろん食物繊維も豊富に含まれるので、便通を良くします。春の気候の変化で胃腸が弱ってしまう時季に新じゃがを食べると改善されるかもしれません。

新じゃがだけではなく、春の野菜の季節は短いです。積極的に食べられると良いですね。旬を味わうことは、体の養生に繋がりますよ。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

参考 「からだに効く和の食材便利帳」武鈴子

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