四川、広東なにが違う?

日本ですっかりおなじみの中華料理。
四川料理や広東料理という言葉も身近になり、「四川は辛い」「広東は辛くない」という認識は多くの方がお持ちではないでしょうか。

四川料理とは?
四川州は、中国の西武に広がる盆地です。亜熱帯地域に属する四川州は東西で気候が大きく異なり、長江沿岸部の夏は高温多湿、冬は寒く乾燥しているという激しい気候。その激しい気候を乗り切るために、新陳代謝が促されるスパイスが多用されたと考えられています。その辛みの素として代表的なものが唐辛子となるわけですが、四川料理に使われるスパイスにはホワジャオ(花椒)、八角などもあります。麻婆豆腐、坦々麺に代表されるような、スパイスのきいた辛い料理が特徴ですが、回鍋肉のように辛みの強くないものも四川料理です。

広東料理とは?
広東省は、中国の南部に位置します。温帯夏雨気候でジメジメと暑いですが、冬は四川のようには冷え込むことがなく、年間を通して温暖な気候です。その気候と海に面した土地のおかげで野菜も魚も豊富な土地であるが故に「食は広州にあり」と呼ばれているほど。
さらに沿岸部は貿易港としても栄えたため、海外の料理法や調味料が伝わりやすく、また広東料理も広く世界に知れ渡ったと言われています。酢豚やシュウマイ、フカヒレスープなど、日本でもなじみのある中華料理は広東料理です。いずれも下ごしらえに力を入れ、素材の旨味を生かすのが特徴です。

南インドと北インドの違い
このように、同じ国の料理でも味わいに大きな違いがあるのは、実はインドも同じ。南インドと北インドでは、南インドカレーは辛く、北インドカレーはマイルドなものが基本です。この違いも中国と同様、気候が影響しているのです。南インドは暑い地域のため、辛くてサラッとしたカレーが好まれ、寒い北インドでは脂肪分が多い濃厚なカレーが好まれたと言われています。

中国料理もインド料理も、大衆料理屋さんでは地域関係なくひとくくりになって日本人好みのものを取り揃えていたりしますが、今回ご紹介したようにその土地の気候に合わせた食の発達をしているのです。
日本でも暑い夏の日にあえて激辛の物を食べに行って汗をだらだら流しながら、「熱さをもって暑さを制する」という言葉がありますが、まさにその感覚がこうして食文化の根っこにあると思うと面白いものです。

(オフィシャルメンバー:戸根みちこ)

参照:【中華料理から見る中国の歴史】 

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