2020.5.7UP
二十四節気に合わせて心と体を整える“立夏”
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第72回は「立夏(りっか)」です。
5月5日~5月20日頃の立夏は春の終わり、夏につながる時期です。今回のテーマは「沖縄料理」。1年を通して温暖な気候の沖縄は、独特の食文化があります。沖縄の人が元気で明るいイメージであるのは、元気の源になるような食事を食べているからではないでしょうか。初夏の時期から旬を迎える食材を使って沖縄料理を楽しみましょう。
沖縄料理の特徴は、琉球王朝の宮廷料理をルーツとした日本と中国両国の影響を受けた側面と、干ばつと台風という厳しい気候条件の中で食材の保存に工夫をこらした生活の知恵がみられる側面があります。
食材では何といっても豚。「豚に始まり豚に終わる」「豚は鳴き声以外食べる」と言われるほど、頭から足の先まで、そして血液や内臓に至るまで余すことなく食します。ヤギ肉も良く食べられますが、特別な時にいただく食材のようです。
野菜はどうでしょうか。沖縄の気候では、太陽の日差しが強いため育ちすぎて硬くなりがち。また干ばつにも強い植物でなければ育ちません。代表的な野菜はゴーヤーやナーベラー(ヘチマ)。ビタミンが豊富で夏バテ予防に効果的です。
料理の基礎となる“だし”は、豚肉とかつおぶしの濃厚なだしが一般的。豚肉とかつおを合わせるとうま味成分の相乗効果で味が複雑になり、それが沖縄料理らしさを生んでいます。
さらに沖縄では、昆布もよく料理に使われます。豚肉と昆布の合わせも沖縄らしいです。琉球王朝の宮廷料理は、薬膳的要素が強く、塩分が少ない調理法が好まれたので、その分だしのうまみが強い調理方法が根付きました。沖縄料理の味の濃さは塩分由来ではなく、うま味の強さに由来するのです。
そんな沖縄のかつおぶし消費量は全国一。さまざまな種類のかつおぶしが店頭に並んでいます。中でも独特なのは「宮古節」と呼ばれるもの。カビ付けを繰り返して作る本枯節がいわゆる一般的なかつおぶしであるのに対し、宮古節はカビ付け前の荒節から表面のタールを削いだ裸節といわれています。柔らかで、ややともすると生臭いくらいの生の鰹のフレッシュな香りが印象的。宮古節でとる濃いかつおだしが、沖縄料理の大きな特徴になります。
家庭で沖縄料理を楽しむときは、塩味は控えめに。濃い目のだしを念頭に、豚肉にかつおぶしを意識するとうまくいきます。素材の味を潰す味付けは厳禁です。初夏のこの時期、沖縄料理で元気に過ごしたいですね。
(オフィシャルメンバー:滝野香織)
参考 「沖縄の料理」WEB
「ヤマキ」HP