二十四節気に合わせて心と体を整える“小満”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第73回は「小満(しょうまん)」です。

5月21日~6月5日頃の小満は日の光がいっそう強まり、全てのものが生き生きと精気に満ち溢れる気分上々の時期です。梅雨前の衣替え、布団など大物の洗濯、年半分の大掃除など大きな家事をするタイミングでもありますね。

七十二候(二十四節気は半月毎の季節の変化を示し、七十二候はそれをさらに約5日おきに分けて、気象の動きや動植物の変化を知らせたもの)では、5月21日から25日頃は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」ともいいます。文字通り、卵から孵化した蚕が盛んに桑の葉を食べ始める時期です。蚕が桑の葉をはむ音は凄烈で「ザァー」と、まるで雨が屋根を打つ音の様だといいます。
 
かつて桑は蚕のエサでしかありませんでしたが、近年はその健康効果が着目され、お茶にして飲まれたり、加工食品として注目を集めるようになりました。桑の葉は鎌倉時代から糖尿病予防効果が期待できるとされていましたが、近年の研究結果で現代人に魅力的な成分が多く含まれることがわかってきたのです。その中で最も着目されているのが「1--デオキシノジリマイシン」という成分。これは糖の消化酵素に対する強い阻害活性があり、食後の血糖上昇を穏やかにする効果が期待できるとされています。

食前に桑茶を飲むことにより食事に含まれる糖が吸収されにくくなり、糖尿病の予防にもつながるのです。さらに「クエルセチンマトニルグルコシド」という成分も多く含まれ、コレステロール値や肝機能の改善、また抗酸化作用が期待できるそうです。緑茶に比べてカルシウムは約6倍・鉄分は約2倍も多く含まれ、食物繊維も豊富。ノンカフェインなので、妊婦さんや子どもも安心して飲めますね。

桑茶の栄養を余すことなく取り入れたい場合は、桑葉を粉末状に加工した桑抹茶がおすすめです。溶けがあまりよくないのが気になる方は、お湯に溶いて飲むより牛乳に合わせて桑抹茶ラテにしたり、クッキーなどに混ぜ込むのがおすすめです。茶葉としての桑茶は、緑茶の味に近いです。クセはなく、飲みやすいし、温でも冷でも美味しくいただけます。

次に桑をいえば桑の実。6月初旬から収穫されるそうです。ラズベリーのような小さな粒粒の集合体のような形で、ラズベリーよりも大きく、熟すと黒くなります。筆者は小さい頃に食べて、とても美味しかった思い出があります。桑の実は現在「マルベリー」と呼ばれており、おしゃれベリーのひとつでもありますよね。スーパーマーケットで見かけることはあまりありませんが、見かけたらぜひ食べてみてください。ジャムに加工されているものも美味しいですよ。 

桑の葉茶、桑の実、見かけたら試してみてください。健康効果もさることながら、日本古来の植物を知る良いきっかけになるとも思います。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

参考 「全薬工業株式会社」HP
   「嶋根桜江町桑葉生産組合」HP

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